×

ニュース

原爆展 アフリカで開いた 安芸高田の元米プロバスケ選手森下さん 広島で27日報告

 米国の元プロバスケットボール選手で平和活動に取り組む森下雄一郎さん(42)=安芸高田市=が今年6~8月、アフリカ12カ国で原爆展を開いた。被爆者のメッセージなどを携え、世界五大陸を巡る計画の第1弾。原爆被害の実態を若者たちに伝えた約2カ月間の旅の報告会を27日、広島市中区の原爆資料館で開く。

 原爆展はエチオピアやケニアの大学、教会など計30カ所を巡った。焼け野原となった広島や熱線で着物の模様が背中に焼き付いた女性の写真など約30点を並べた。核兵器廃絶を訴える被爆者約10人のビデオメッセージも流した。

 現地では、大半の住民に原爆投下の知識はなかったという。「核兵器の恐ろしさは、世界でまだまだ知られていない現実に驚いた」と話す。「伝えてくれてありがとう」。何度も感謝の言葉を掛けられた。ウガンダの大学では、展示を機に平和について考えるサークルが発足した。

 兵庫県尼崎市の出身。プロバスケ最高峰のNBAを目指して18歳で渡米し、独立リーグやストリートバスケで活躍した。13年間の米国生活では、肌の色の違いで分断される住民たちに直面した。「互いを認め合うところから平和は始まる。黒人でも白人でもないお前なら、世界平和に貢献できるはずだ」。ホームステイ先で掛けられた言葉が、活動のきっかけになった。

 今年1月、安芸高田市に移住した。被爆者団体や原爆資料館の協力も得て、100カ国での開催を目指す。次回は10~12月にヨーロッパ大陸を訪れる。資金約200万円はインターネットのクラウドファンディングで募っている。

 報告会は午後3時から5時まで。森下さんは「平和づくりの輪が、遠いアフリカで広がっていることを知ってほしい」と話している。森下さん☎070(1822)2050。(久保田剛)

(2019年9月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ