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平和研移転 30日決定 広島大跡地の拠点構想 市立大

 広島市中区の広島大本部跡地にある被爆建物、旧理学部1号館に新たな平和研究拠点をつくる構想で、市立大は24日、30日に理事会を開き、同大の広島平和研究所(安佐南区)の移転を正式決定すると明らかにした。広島大は既に同大平和センター(中区)の移転を決めており、市と同大などが描く「知の拠点」の実現に向けて一歩を踏み出す。

 市立大によると、25日の学内の教育研究評議会を経て、30日の理事会・経営協議会で正式に決定する。昨年11月に市からの要請を受け、平和研究所を移転する方向で議論を進めてきた。同大は「教育や研究など実際の取り組み内容については、引き続き広島大、市と話し合っていきたい」としている。

 この日の市議会本会議の一般質問では、市都市整備局の中村純局長が「9月末には(移転の)回答をいただけると聞いている」と答弁。両大学の平和研究機関の移転について「組織の枠組みを超えて密接に連携・交流でき、1号館が『知の拠点』として真価を発揮する」と歓迎した。

 1号館には、市の有識者懇談会の提案に沿い、両大学と市で「ヒロシマ平和教育研究機構」(仮称)を設ける方針。年度内をめどに策定する基本計画には、3者で取り組む研究や教育の内容、必要な施設のイメージと整備費用の概算、運営体制などを盛り込む。(明知隼二)

旧理学部1号館
 1931年に広島文理科大本館として建設された。鉄筋3階建て延べ約8500平方メートル。爆心地から約1・4キロで被爆し、外観を残して全焼した。49年の広島大開学で理学部1号館となった。同大の東広島市移転に伴い91年に閉鎖。耐震調査の結果などを踏まえ、市は2017年、E字形の建物のうち正面棟をI字形に保存する方針を決めた。18年11月の有識者懇談会で、広島大と市立大の平和研究機関を移転し、新たな平和研究機関を設ける案が示され、市と両大学が協議を進めていた。

(2019年9月25日朝刊掲載)

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