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被爆遺構展示へ計画作り 広島市懇談会 旧中島地区巡り承認

 平和記念公園(広島市中区)の地下に残る旧中島地区の被爆遺構を巡り、展示公開に向けた市の懇談会が29日、原爆資料館東館北側の発掘調査現場であった。考古学者や被爆者たち委員7人が出席。5~9月の2度の調査で確認できた遺構の一部を展示する方向で、展示方法など基本計画を作り始めることを確認した。

 市側が、8~9月の追加調査で被爆前に住居が立ち並んでいた天神町筋のアスファルト面や側溝、住居の土間などを確認できたと説明。調査した計約60平方メートルのうち、倒れて焼けた土壁や炭化した板材の跡、天神町筋の一部を含む4メートル四方を展示することを提案した。

 委員からは「これまでの調査では被爆前の営みを想像しづらい」と調査を続けるよう求める意見もあったが「一瞬で家が押しつぶされ、焼かれた惨状を伝える遺構を確認できた」などとして、展示の基本計画作りに入る市の方針を承認した。市は2020年度中の公開を目指しており、19年度内をめどに展示方法や、保護に必要な施設の概要などを盛り込んだ計画を作る。計画案の段階で市民アンケートも行うとした。

 一方、「遺構を保存する方法を決めるための調査だけで1~2年はかかる」と、20年度の公開を疑問視する意見もあった。

 座長の三浦正幸・広島大名誉教授(建築史)は「まずはここで展示を実現し、惨状を伝える効果が高ければ、別の場所やより大規模な展示も考えられる」と展望した。

 懇談会前に市民向けの見学会もあり、約130人が参加した。(明知隼二)

(2019年9月30日朝刊掲載)

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