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被爆者に一定の配慮も 放影研 2団体の質問に回答

 放射線影響研究所(放影研)は11日、広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会と県被団協(金子一士理事長)の公開質問状に回答した。被爆者の立場に立った研究を求めた両団体に対し、放影研の大久保利晃理事長は「(試料を提供した)被爆者の貢献に応えられるよう、国際平和につながる研究を目指す」と述べた。

 両団体の計20人が広島市南区の放影研を訪れた。大久保理事長は2月に中区であったシンポジウムで「被爆者の立場に立った研究はできない」と発言した理由を、「科学研究はあらゆる利害にとらわれることなく真理探究を目指すべきだ、との思いで発言した」と説明した。

 内部被曝(ひばく)や残留放射線について「放影研は根拠がないのに影響がないとしている」との指摘に、大久保理事長は「影響がない、と言ったことはない」と反論。「放射線の平均的リスクを推定しているが、平均値を外れた現象が起こることも前提としている」と述べた。

 県被団協の大越和郎事務局長は「内部被曝の影響に苦しんでいる人がいる。誤解を生むような表現は避けてほしい」とあらためて訴えた。(田中美千子)

(2013年4月12日朝刊掲載)

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