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非武装地帯で気付いた「平和」 吉田さん 部門最優秀賞 韓日交流作文コンテスト

 在日韓国大使館・韓国文化院(東京)が主催する「韓日交流作文コンテスト」で、英語翻訳家の吉田紋子さん(48)=広島市安佐南区=が「韓国旅行記部門」の最優秀賞を受賞した。南北朝鮮を分断する非武装地帯(DMZ)を訪れた際に感じた、広島との平和認識の違いについて韓国語でつづった。

 旅行記はA4用紙1枚分で、題材は今年2月に国際交流プログラムの一環で参加した「DMZ平和ツアー」。韓国北東部・江原道(カンウォンド)の展望台から見た北朝鮮側の海の美しさに感動し、思わず両手を広げて記念撮影をすると、現地ガイドに「この場所を軽く考えないで」ととがめられたという。

 軽率な行動だったと反省しながら、「私も原爆ドーム前でピースサインをして写真に納まる観光客を見ると複雑な気持ちになる」と吐露。「平和と言えば広島の人は『原爆』を連想するが、韓国では『統一』という単語と深く結びついている」と考えを巡らせ、「現地を歩いて初めて気付くことがある」と締めくくった。

 「両国の歴史の痛みを比較し、平和のメッセージを発信した」と高く評価され、同部門の応募作66点から選ばれた。

 吉田さんは中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターで記事の英訳を担当する傍ら、韓国ドラマへの関心から8年前に韓国語学習を始めた。今春、広島市立大大学院で日韓の英語学習をテーマに修士号を取得した。政府間の関係は厳しい状況だが「大事なのは人のつながり。韓国語で日本のことを発信していきたい」と話す。(桑島美帆)

(2019年9月30日朝刊掲載)

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