未完のはだしのゲン 原爆資料館に新たな遺稿寄贈 今夏公開の予定
13年4月12日
昨年１２月に７３歳で亡くなった漫画家中沢啓治さん（広島市中区出身）の代表作「はだしのゲン」で、未完となった第２部の新たな遺稿１６ページ分を１１日、妻ミサヨさん（７０）が広島市中区の原爆資料館に寄贈した。資料館は、今夏の企画展で公開する予定という。（田中美千子）
遺稿は、ミサヨさんが埼玉県所沢市の自宅で遺品を整理中に見つけた。中沢さんが目の病気で執筆を断念した第２部は、原爆投下後の広島で成長したゲンが絵の修業で上京した後を描く構想だった。
第１話の最初の１６ページ分は中沢さん自身が２０１１年に資料館に贈っており、その続編の１７～３２ページ。Ｂ４判の紙の表裏に、絵やせりふの下書きが鉛筆で描かれている。
汽車で東京に着いたゲンは、東京大空襲で両親を亡くした少年と出会う。「わかるよ、わしも広島のピカで同じ思いをしたけえのう…」と自らの境遇に重ね、身の上話を聞くうちに少年にお金を奪われてしまう場面だ。
資料館を訪れたミサヨさんは「夫は第２部で戦争の恐ろしさを伝えようとしていた。多くの人に見てもらいたい」と話し、志賀賢治館長に手渡した。中沢さんの自伝「『はだしのゲン』自伝」の挿絵の原画２３枚も一緒に寄贈した。
（２０１３年４月１２日朝刊掲載）
遺稿は、ミサヨさんが埼玉県所沢市の自宅で遺品を整理中に見つけた。中沢さんが目の病気で執筆を断念した第２部は、原爆投下後の広島で成長したゲンが絵の修業で上京した後を描く構想だった。
第１話の最初の１６ページ分は中沢さん自身が２０１１年に資料館に贈っており、その続編の１７～３２ページ。Ｂ４判の紙の表裏に、絵やせりふの下書きが鉛筆で描かれている。
汽車で東京に着いたゲンは、東京大空襲で両親を亡くした少年と出会う。「わかるよ、わしも広島のピカで同じ思いをしたけえのう…」と自らの境遇に重ね、身の上話を聞くうちに少年にお金を奪われてしまう場面だ。
資料館を訪れたミサヨさんは「夫は第２部で戦争の恐ろしさを伝えようとしていた。多くの人に見てもらいたい」と話し、志賀賢治館長に手渡した。中沢さんの自伝「『はだしのゲン』自伝」の挿絵の原画２３枚も一緒に寄贈した。
（２０１３年４月１２日朝刊掲載）
