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被災者保養 43家族に 交通費補助 交流の場 健康ケアも

 広島市安佐北区の育児支援のNPO法人よもぎのアトリエなどでつくる「福島支援プロジェクト」が取り組む、東日本大震災被災者の一時受け入れが、4月で延べ計43家族175人に達した。継続的に被災者を支援し、心のケアに当たっている。(中川雅晴)

 「福島では、屋外で遊ばせることに抵抗がある。広島の公園で子どもと砂遊びできてよかった」。小学3年の長男(8)と長女(3)と一緒に、3月23日から14日間滞在した上石純子さん(37)=福島県郡山市=は、顔をほころばせた。

 同プロジェクトは、東日本大震災後の2011年夏から活動を始めた。福島の支援団体などのホームページに受け入れメッセージの掲載を依頼して募集。広島までの往復交通費として大人4万円、中高生3万円、小学生2万円を補助している。

 同区の公団住宅3部屋に最大6家族、市内の産婦人科医師が持つ廿日市市のマンション一室に最大2家族住み、数日~2週間保養してもらってきた。

 市内の観光施設を訪れたり、夕食会を開いたりしながら、被災者同士が悩みを共有する場をつくるほか、病院で母子の甲状腺検査をして健康ケアも後押しした。

 春、夏、冬の学校の休み期間中に受け入れ、ことし3月23日から4月6日までの春の受け入れ期間には、福島県浪江町や川俣町から11家族37人が訪れた。仲良くなった広島の家族に、再び会いに来るケースもあった。

 活動への国の補助金などが終わったため、現在は個人寄付や市内での募金で集めた現金を交通費に充てている。同プロジェクトの平木薫さん(56)は「交通費が不足しているが、被災者同士で悩みを共有する環境を充実させていきたい」と話している。

(2013年4月12日朝刊掲載)

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