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岸田外相が帰国 北朝鮮対応「手応え」

 軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)と主要国(G8)の両外相会合に出席した岸田文雄外相(広島1区)は12日、オランダ、英国での5日間の日程を終え、成田空港に帰国した。

 ロンドンでのG8外相会合が閉幕した11日、岸田氏は、現地で記者団に「北朝鮮に対する日本の立場を各国と共有できた。手応えを感じている」と振り返った。

 核開発や弾道ミサイル発射の動きを続ける北朝鮮への対応で揺れた会合。議長声明で「最も強い言葉で非難」するなど、日本の立場を反映した強いメッセージを打ち出した。

 NPDI外相会合で、2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた6種類の具体的な提案文書をまとめるなど、来年の広島での会合を前に、「核兵器のない世界」を目指す意思を確認した。(藤村潤平)

【解説】岸田氏 「ユース特使」に各国賛意

 被爆地出身の岸田文雄外相による非核外交は、NPDIとG8の両外相会合で一定の存在感を発揮した。「核兵器のない世界」に向けて、核の悲惨さを知る日本が議論をリードする重要性をあらためて示した。

 「私は被爆地広島の出身。核軍縮に積極的に取り組みたい」。岸田氏は、両会合や各国外相との会談でこのフレーズを繰り返し、日本の積極姿勢を印象付けた。

 折しも北朝鮮情勢は、ミサイル発射の動きで緊迫化。両会合でも北朝鮮への関心が高まり、岸田氏の姿勢と相まって、各国が認識の共有を深めた。結果として、核やミサイル発射を強い言葉で非難する声明へとつながった。

 NPDI外相会合では、若い世代に核兵器の悲惨さを訴えてもらう「ユース非核特使」制度の新設を表明。被爆国ならではの取り組みは各国に好意的に受け止められ、共同声明には「歓迎する」との表現が盛り込まれた。

 さらに、来年4月に予定する広島市での会合開催への期待も集めた。2015年のNPT再検討会議の1年前という重要な時期で、日本が議長国を務める。各国からは「被爆地から核軍縮を提案する意義は大きい」「NPDIの存在感を増すため、日本にはリーダーシップを一層示してほしい」などの意見が相次いだ。

 広島会合を「核兵器のない世界への出発点になる会合にしたい」と強調した岸田氏。言葉通りの会合にするには、この分野で日本の存在感をもっと高める必要がある。それには、被爆地出身外相ならではの説得力ある言葉と行動をさらに示していくことが欠かせない。(藤村潤平)

(2013年4月13日朝刊掲載)

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