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東日本支援 奏でる 復興への希望 共鳴 被災材バイオリン 被爆ピアノ 

 東日本大震災の津波で流された岩手県陸前高田市の松やがれき木材で作ったバイオリンと、被爆ピアノの演奏会が13日、広島市西区の三滝グリーンチャペルであった。被災地とヒロシマの二つのシンボルの音が響き合い、約120人の聴衆は復興支援と記憶の継承を誓った。(胡子洋)

 バイオリンは「奇跡の一本松」やカエデの流木などを使い、全国の有志でつくる「命をつなぐ木魂(こだま)の会」のメンバーが作った。

 同会は震災から1年の昨年3月、世界各国の千人がこのバイオリンを演奏会で奏で、記憶をつなぐプロジェクトを開始。趣旨に賛同した「おやじ日本広島」(西区)が広島での演奏会を発案し、被爆したピアノとの協演を企画した。

 この日、広島交響楽団のバイオリン奏者、津田芳樹さん(50)と妻でピアノ奏者の典子さん(50)が、震災復興支援ソング「花は咲く」や「ふるさと」など計7曲を披露。優しいバイオリンの音とピアノの調べを重ねた。

 南区の会社員安達祐子さん(44)は「被災者や製作者たち多くの人の思いが音色に込められているようで感動した」と話した。

 木魂の会の又川俊三会長(68)=盛岡市=は「震災復興はまだ始まったばかり。記憶を風化させないでほしい」と呼び掛けた。

 「震災バイオリン」を千人が奏でるプロジェクトは2022年までに達成させる計画。これまで日本やフランスなど8カ国の約130人が演奏した。

(2013年4月14日朝刊掲載)

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