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投資 軍拡より平和に ICAN共同創設者 広島で訴え 世界経済人会議

 経済活動が平和の実現にどう貢献できるかをテーマに議論する「国際平和のための世界経済人会議」が23日、広島市中区の広島国際会議場で2日間の日程で始まった。ノーベル平和賞を2017年に受賞した国際非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の共同創設者ティルマン・ラフ氏が講演し、軍備拡大への巨額な予算を世界の安定のために使うよう訴えた。

 ラフ氏は最近の核軍縮を巡る世界の動きについて、米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を例に「正しい方向に行っていない」と危機感を強調。米国やロシアの核兵器の近代化に向けた費用が1兆円を超えていると指摘し、「資金を持続的な開発目標のために使えばどうなるか想像してほしい」と平和構築のための投資を訴えた。

 ICANの活動を通し、国連での核兵器禁止条約の採択に貢献したラフ氏は「小さなグループでも狙いと先を見通すビジョンがあれば世界を変えられる」と話し、核兵器廃絶に向けて広島の自治体レベルのリーダーシップや市民の支援を求めた。

 会議は県の呼び掛けで始まり、4回目。今回は県や広島商工会議所など28団体で構成するひろしま平和貢献ネットワーク協議会が主催し、国内外の企業やNGO関係者たち約230人が参加した。最終日の24日は学識者や経営者、市民団体の代表たちがスポーツや経済活動を通じた平和の実現について意見を交わすパネルディスカッションなどがある。(永山啓一)

(2019年10月24日朝刊掲載)

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