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基地めぐり国防論火花 参院山口補選 初の週末 北朝鮮対応で争点化

 「今、この瞬間も北朝鮮が何をやるか分からない。言葉にできない緊張感がある」「岩国は国防上、非常に大切なところ」。参院山口補選(28日投開票)の告示後初の週末となった13日、大勢の市民が歩道を埋めた岩国市中心部の商店街に拡声器の大音量が響いた。

 同補選に立候補した自民党公認の江島潔氏(56)の街頭演説で、小泉進次郎党青年局長や片山さつき参院議員は相次いで、新型弾道ミサイルなどの発射準備を進めているとされる北朝鮮情勢に言及。同市の米海兵隊岩国基地を引き合いに国防論議を展開し、昨年末の政権交代による成果や憲法改正論議をからめて「今の流れを続ける自民党候補を選ぶのか、他の候補を選んで流れを止めるのか」などと訴えた。

 これに対し、無所属で民主党など推薦の平岡秀夫氏(59)は、同市を拠点に昨年末まで5期衆院議員を務めた間に取り組んだ国防論議の実績などをもとに、「自民党の独走を許してはいけない」と、保守から革新まで幅広い勢力の結集を訴える作戦。13日は下関市など山口県西部を回り「庶民が望んでいない軍事大国への道を進もうとしている」などと政権批判を繰り返した。

 平岡氏は、岩国を拠点に3月から本土訓練を始めた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ問題も街頭演説などで取り上げ、「国は米側の説明をそのまま伝えるだけ」と指摘。「安全性などを日本が主体的に判断する法的枠組みづくりが大事」と、政府の日米安全保障体制への過度の依存に警鐘を鳴らしている。

 共産党公認の藤井直子氏(60)は国防や憲法改正などを例に、安倍政権の右傾化を指摘。街頭演説では「米軍機の爆音被害に加えオスプレイの低空飛行なんてとんでもない」と強調する。幸福実現党公認の河井美和子氏(50)は逆に、「北朝鮮や中国の脅威が迫る中で力を発揮するのはオスプレイだ」と主張。日米安保を重視する。

 朝鮮半島に近い山口の参院補選。日常生活に直結する国際情勢の緊迫が有権者に微妙な影を投げかけている。(堀晋也、金刺大五)

立候補者(届け出順、敬称略)

江島潔    56 前下関市長  自新(公推)
藤井直子   60 党県委員   共新
河井美和子 50 幸福実現党員 諸新
平岡 秀夫  59 元法相    無新(民、ミ推)

(2013年4月14日朝刊掲載)

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