×

ニュース

核兵器廃絶 議論 広島 世界経済人会議が閉幕

 経済活動を通じた平和構築などを考える「国際平和のための世界経済人会議」は24日、広島市中区の広島国際会議場で2日間の議論を終え、閉幕した。企業や非政府組織(NGO)の関係者たち約170人が参加し、被爆者の体験を聞きながら、核兵器を廃絶する方策などを議論した。

 8歳の時、牛田町(現東区)で被爆した小倉桂子さん(82)=中区=は市内の川を死体が埋め尽くした当時の様子を証言。「私の年齢が被爆者のほぼ平均。被爆者がいなくなった時、当時のことがどう伝えられるのか不安だ」と一日も早い核兵器廃絶を訴えた。

 小倉さんと対談した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の共同創設者ティルマン・ラフ氏は「被爆者が報復ではなく、自分たちの体験を二度と繰り返させないために活動していることに感動を覚える」と話し、核兵器開発に関係する企業への投資を中止させる運動に力を入れる考えを示した。

 五輪メダリストで日本フェンシング協会の太田雄貴会長も登壇し、「楽しみながら体を動かすと健康になる。心に余裕ができ、人に優しくできる」とスポーツによる平和貢献を訴えた。

 会議は広島県が主導し、経済学者で欧州復興開発銀行初代総裁のジャック・アタリ氏がフランスで開催してきた「ポジティブ・エコノミー・フォーラム」と初めて合同開催した。国内外の企業関係者のほか、女性の権利を訴える活動家や環境団体の代表、風刺画家たちによる意見発表もあった。(永山啓一)

(2019年10月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ