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長崎市長「実現は困難」 「20年までに核廃絶」平和首長会議目標 広島市長も同意 次期見直しへ

 平和首長会議副会長の田上富久・長崎市長は25日、東京都立川市であった国内加盟都市会議総会で、2020年までの核兵器廃絶を掲げる首長会議の「2020ビジョン」について「達成できておらず、(20年までに残された)短期間ではできない」と述べ、実現は困難との認識を示した。会長の松井一実・広島市長も同意。20年の目標設定には被爆者の存命中に廃絶を実現するとの狙いがあるが、来夏に策定する次期ビジョンで見直すことになる。

 この日は総会2日目で、閉会あいさつで述べた。田上市長は終了後の会見で、03年に掲げたビジョンを「年限を区切り核兵器廃棄まで目指した意欲的な目標だったが、達成できなかった」と改めて説明した。一方、核兵器禁止条約の制定など実現した部分もあったと強調。次期ビジョンでは「廃絶の目標は変わらないが、新たな年限を示すかは役員都市と議論中。違った形になるのでは」と年限を示さない可能性に触れた。

 松井市長も「(達成できていないのは)事実で、同じ評価だ。反省を踏まえ、廃絶や平和への思いを、日常の中でより広く、深く醸成していく策を出したい」とし、被爆や戦争の記憶の継承について加盟都市の連携を深める考えを示した。

 この日は、来年8月3~6日に広島市で首長会議総会を開き、次期ビジョンと行動計画を策定することなどを決定。昨年に続き、日本政府に禁止条約の署名、批准を求める要請文を採択した。(明知隼二)

平和首長会議
 核兵器廃絶を目指す都市の連帯組織で、1982年に広島、長崎両市長の呼び掛けで発足した「世界平和連帯都市市長会議」が前身。2001年に平和市長会議、13年に平和首長会議に改称した。広島市長が会長、長崎市を含む世界14市長が副会長を務め、今月1日時点で世界163カ国・地域の7833都市(うち国内1732市区町村)が加盟する。03年10月に策定した行動指針「2020ビジョン」は、全ての核兵器の実戦配備の即時解除、核兵器禁止条約締結、20年までの全ての核兵器の解体・廃棄などを掲げている。

(2019年10月26日朝刊掲載)

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