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8・6デモ静粛 再要請 広島市 不調なら条例検討へ

 広島市は28日、8月6日に開く平和記念式典の会場周辺でデモをしている市民団体「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」に、式典中の静粛の確保を改めて要請した。団体メンバーは「表現の自由を尊重するべきだ」と主張し、議論は平行線に終わった。市は今回の要請を受け入れられなければ、拡声器の音量を制限するなどの条例の検討を本格化させるとしている。

 この日市役所で、市民活動推進課の山根孝幸課長は「被爆者や市民の願いである静ひつな環境の下で式典が挙行されるよう要請する」との文書を中島健共同代表に手渡した。市は来年以降、式典中の拡声器の使用を控える▽拡声器の音量を下げる▽デモ行進のルートを変更する―の3点の協力を申し入れ、来月18日までの回答を求めた。

 団体メンバーは15人が出席。「デモは核廃絶を後退させる安倍晋三首相に直接抗議できる唯一の手段だ」「憲法で保障された表現の自由を守ることが本来の行政の役割だ」などと市の姿勢に抗議した。中島共同代表は「市への回答は他のデモ団体とも連携して検討する。市はスケジュールありきで条例を検討するのではなく、幅広く市民と式典の在り方を話し合う場を設けるべきだ」と述べた。

 式典会場周辺のデモを巡っては、市がことし8月6日、参列者にアンケートを実施。回答者の42・7%が「関係者に対する要請や話し合いを続けるべきだ」とし、32・7%が「条例などで音量を規制する措置を講ずるべきだ」とした。

 市は、両回答を合計した7割以上が「何らかの対応を求めている」として、今回の要請が断られた場合、被爆75年となる来年の式典に向けて条例による規制を含めて検討する。条例を作る場合は、来年2月の市議会定例会に提案するとみられる。(永山啓一)

(2019年10月29日朝刊掲載)

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