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「食糧難イメージない」 元広島市長平岡さん 北朝鮮を訪問

 元広島市長の平岡敬さん(91)が30日夜、広島市中区のカフェ「ハチドリ舎」で、9月に74年ぶりに訪れた北朝鮮の実情を報告した。首都平壌の夜景や周辺地域の田畑の写真を示しながら、「食糧難のイメージはなく、経済制裁が効いていないと感じた」と印象を語った。

 少年・青年期を朝鮮半島で過ごし終戦を現在の北朝鮮で迎えた平岡さんは、当時の学徒動員先の工場をもう一度見たいと訪朝した。「平壌はイルミネーションが鮮やかで、地方へ続く幹線道は頻繁にトラックが行き交っていた」「田畑の稲やトウモロコシも豊作のようだった」と、物流や食糧事情を驚き交じりに振り返った。

 現地では4人の被爆者とも面会したという。日米両政府に補償と謝罪を求める一方で、暮らしへの不満は漏らさない姿から「政府の監視があり答えづらかったのだろう」と推し量った。

 報告会はハチドリ舎の主催で、38人が参加。安佐南区の介護職員今井拓哉さん(25)は「日本で報道されている様子と違い驚いた。本当の姿を知る努力をしていきたい」と話していた。(宮野史康)

(2019年11月1日朝刊掲載)

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