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[法王 被爆地へ] 広島の心込め原爆絵本 市民グループ 手紙・折り鶴同封

 ローマ法王フランシスコが24日に広島を訪れるのを前に、市民グループ「ひろしまと世界を結ぶこども文庫」が、原爆被害を伝える絵本を東京のローマ法王庁大使館へ郵送した。法王に宛て「平和を願う広島市民の心を届けたい」とイタリア語でつづった手紙を添えた。(桑島美帆)

 絵本は被爆50年に原作が出版された「絵で読む 広島の原爆」(文・那須正幹、絵・西村繁男、福音館書店)の英訳版。歴史や科学的な解説を交え、戦前から現代までの広島の街の変遷を繊細なタッチで描く。

 「こども文庫」のメンバー飯尾千絵さん(58)=広島市佐伯区=がイタリア語で手紙を書き、宮郷昌子さん(78)=中区=が作った折り鶴2羽を同封し、先月31日に発送した。代表の柴田幸子さん(87)=安佐南区=は「次の世代に幸せな地球を残すことが戦争を体験した私たちの務め。世界的な視野に立つローマ法王に、絵本を通じて広島の被害を知ってほしい」と力を込める。

 グループは、1996年から海外の子どもに絵本を贈る活動を始め、これまで核兵器保有国を含む168カ国に計3005冊を届けた。2008年に市内で主要国(G8)下院議長会議が開かれたのを機に、大統領や首相たちの来日時にも各国の在日大使館に絵本を送っている。米国のトランプ大統領には、ことしの5月と6月の来日時に、東京の米国大使館へ同じ絵本を郵送したが「受け取り拒絶」で戻ってきたという。

(2019年11月6日朝刊掲載)

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