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核廃絶の年限 明記せず 首長会議次期目標 広島市長が検討

 平和首長会議の会長を務める広島市の松井一実市長は6日、2020年までの核兵器廃絶を掲げる同会議の行動指針「2020ビジョン」に関し、来夏に策定する次期ビジョンでは廃絶の明確な目標年限を明記しない方向で検討していると明らかにした。廃絶に向けた機運醸成により力を入れる考えで、11~12日にドイツ・ハノーバー市である同会議理事会で提案する。

 松井市長はこの日の会見で、03年に定めた目標年限について「被爆者が存命のうちに核兵器のない世界をつくるとの決意を示した」と改めて評価。一方、核軍縮を巡る厳しい国際情勢に触れ「都市の首長の力で直ちに世の中を変えることができない状況だ。平和を願う市民社会をつくることで問題解決の道を開きたい」とし、市民レベルでの廃絶への機運醸成に長期的に取り組む考えを示した。

 理事会には広島、長崎の両市を含む11の役員都市の首長が出席し、2020ビジョンやこれまでの行動計画の達成状況、次期ビジョンなどについて議論する。松井市長は「これまでの取り組みを踏まえつつ、首長会議のこれからの役割について検討したい」とした。

 会見では、国連総会第1委員会(軍縮)で採択された日本政府提出の核兵器廃絶決議にも言及。前年に比べ核兵器の非人道性に関する記述が大幅に減った決議について「唯一の被爆国政府として、何より被爆者の核廃絶への願いを受け止めていると明確にすることが大切だ」と指摘。その上で核軍縮、核兵器禁止条約の促進でのリーダーシップを期待した。(明知隼二)

(2019年11月7日朝刊掲載)

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