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原爆症認定 勝訴の軌跡 記録映画 支援者たちが製作

 原爆症認定の集団訴訟の軌跡を振り返る映画「原爆症認定集団訴訟の記録 おりづる」を、首都圏の弁護士や支援者たちが製作した。認定制度の仕組みをアニメーションで紹介。集団訴訟に至った経緯や訴訟の全体像が分かる作品に仕上げた。

 2003~11年に全国17地裁で306人が提訴し、勝訴を重ねた道のりを丁寧に追った。アニメ映画出身の有原誠治監督(65)が、脚本や撮影も担当。原告の被爆者や弁護士、医師、判決文を書いた元裁判官たち15人の証言や当時の記録映像を約75分の作品に織り込んだ。

 有原監督が手掛ける集団訴訟の記録映画は2作目。11年製作の第1作「原爆症認定集団訴訟の記録 にんげんをかえせ」は被爆者の思いに焦点を当てた。訴訟の争点や勝訴が相次いだ理由が分かる続編を望む声が出ていた。

 東京都内でこのほどあった完成試写会には約30人が参加。「登場した原告の多くは既に故人。胸がいっぱいになる」「多くの人に見てもらう仕掛けが必要だ」などの声が出た。今後、有志で普及を目指す委員会をつくる方針。一般上映のスケジュールや作品を収録したDVDの販売方法などを詰める。

 有原監督は「知識がなくても理解しやすい作品になるよう努めた。次世代の子どもたちにも見てもらいたい」と話している。アニメーション活動センターTel03(6915)9281。(藤村潤平)

原爆症認定の集団訴訟
 被爆者援護法に基づく原爆症の認定申請を却下した国の処分は不当として、2003年以降、広島など全国17地裁に306人が提訴。06年に広島地裁が原告全員の却下処分を取り消すなど原告勝訴の判決が相次ぐ。これを受けて国は08年、爆心地から3・5キロ以内での被爆など、一定の基準を満たせば積極認定するよう、基準を大幅に緩和した。

(2013年4月16日朝刊掲載)

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