×

ニュース

[法王 被爆地へ] 銅板折り鶴 教会に託す 市立広島工高生、法王へ制作

 ローマ法王フランシスコの広島訪問を前に、広島市立広島工業高(南区)の生徒が11日、法王への贈り物として制作していた銅板製の折り鶴を、カトリック広島司教区(中区)に届けた。生徒たちは「広島の高校生として平和の願いを込めた」と託した。教会関係者が24日、法王に渡す。

 司教区の依頼を受けて制作した鶴は幅約15センチ、高さ約8センチ。材料は、1954年に原爆犠牲者の慰霊と世界平和を願って建てられた世界平和記念聖堂(中区)の屋根材を使った。古びた銅板の風合いそのままの鶴と、緑青の色合いを生かした鶴をセットにして贈る。

 この日は、機械科3年の7人が、指導した沢田和則教諭(51)たちとカトリック幟町教会を訪問。聖堂の前で、プラスチックケースに収めた3セットを白浜満司教(57)たちに手渡した。

 生徒の1人、亀井海士さん(18)=中区=は「平和教育で戦争の悲惨さを学んできた。一人一人の存在が大事にされる世界になるよう願いを込めて作った」と述べた。白浜司教は「年月をへた銅板の雰囲気は、時がたつほどに平和への願いが深まるさまを表しているようだ。皆さんの思いは法王に届けます」と感謝した。

 司教区は24日、平和記念公園(中区)での集いの後、広島空港で法王を見送る際に鶴を渡す予定。残る2セットの寄贈先は今後、検討する。(明知隼二)

(2019年11月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ