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勤務経験者 聞き取り調査 海自呉の旧海軍地下施設 呉高専など 内部の様子と用途確認

 呉市の海上自衛隊呉基地内に残る旧海軍の地下施設を調べている呉高専(呉市)と広島工業大(広島市佐伯区)の教員が、施設で勤務した経験のある三上貞之さん(89)=神石高原町=から現地で聞き取り調査をした。勤務経験者を同基地に招いて話を聞くのは初めて。施設の用途などを確認した。(浜村満大)

 呉高専の上寺哲也准教授と広工大の光井周平講師が、15歳だった1945年7月から呉で通信業務に従事し、地下施設でも働いていた三上さんの協力を得た。聞き取りを行ったのは今月10日。旧海軍の呉鎮守府庁舎だった海自呉地方総監部第1庁舎前を出発し、基地内を巡って地下施設の出入り口前を訪れた。

 44年8月に海軍に入り、防府通信学校を経て呉で勤務した三上さんは「地下施設は奥に進むと大広間があり、女性もいた。6時間勤務の4交代で、自分は2階の送信機室で業務していた」と説明。「終戦前は暗号が日によって変わっていたが、内容までは分からなかった」と明かした。

 三上さんは、地下施設前から広島への原爆投下も目撃した。「特殊爆弾が落とされ広島が全滅と聞いた。呉から救護が行くと聞いていた」と振り返った。

 地下施設は同庁舎の南約200メートル地点にあり、隣接する造船会社の敷地内にも広がる。「呉鎮守府戦斗指揮所」と記した手書きの史料も残る。一方で、同庁舎そばにも地下壕(ごう)があり、呉高専と広工大が関連性などの解明を目指している。光井講師は「内部の様子や機能が聞け、収穫は多かった。勤務経験者に話を聞く活動を続けたい」と話していた。

(2019年11月14日朝刊掲載)

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