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「被爆者の願い 応えて」 原爆症3訴訟 1月に上告審弁論 日本被団協、最高裁に訴え

 広島や長崎で被爆した女性らが原爆症と認めなかった国の処分の取り消しを求めた3件の訴訟で、最高裁が来年1月に上告審弁論を開くと決めたことを受け、日本被団協の木戸季市事務局長(79)は15日、東京都内で記者会見し、「最高裁は被爆者の願いに応えてほしい」と訴えた。

 この3件の訴訟では原爆症の認定要件の一つである「医療の必要性」を巡って結論が割れている。原告の弁護団によると、最高裁が判決の際に何らかの統一判断を示し、高裁で係争中の15人、地裁で係争中の5人の同様の訴訟にも影響を与える可能性がある。

 3件の原告は広島で被爆して白内障を患う女性、長崎で被爆して慢性甲状腺炎を患う女性、長崎で被爆して白内障を患う女性の3人。それぞれ広島、名古屋、長崎の各地裁に提訴し、広島と名古屋の訴訟は高裁で原告が勝訴、長崎の訴訟は高裁で原告が敗訴した。会見で弁護団の樽井直樹弁護士は「最高裁が国の方針を追認することは許されない。被爆者が勝訴すれば国は法の運用是正を求められる」と述べた。

 この日、被爆者たち17人が最高裁を訪ね、全国の被爆者の手紙98通を提出した。原爆症への不安や悩みを伝えるのが狙い。木戸事務局長は「被爆者に寄り添うか、その逆か。世界が注目している。被爆者の願い、訴えに耳を傾け、判断をしてほしい」と強調した。

 最高裁第3小法廷は今月12日、3訴訟の弁論期日を来年1月21日に指定した。(河野揚、桑原正敏)

(2019年11月16日朝刊掲載)

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