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原爆症認定検討会 外部人選で委員が対立 今夏報告は困難

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第20回会議が16日、東京都内であった。病気の認定対象を広げる厚労省案が示されたが、その妥当性に関する意見を聞く外部の専門家の人選をめぐって委員が対立。議論は進まず、予定していた今夏に最終報告をまとめることが困難な情勢となっている。

 座長の神野直彦東京大名誉教授(財政学)たち11人が出席した。厚労省の新たな認定制度案は、昨年9月の中間報告で示した3案のうち、現行制度の存続を前提とした2案を統合。認定対象の病気を増やし、病状に応じて段階的に手当を支給する内容とした。

 厚労省案を受け、複数の委員が「検討会と並行して医療の専門家の意見を聞くべきだ」と指摘。候補者に原爆症の認定を審査する厚労省の被爆者医療分科会のメンバーを挙げた。

 これに対し、日本被団協事務局長の田中煕巳(てるみ)委員が「被爆者は今の認定審査自体に不信感を持っている」と反対した。このため、神野座長に結論を一任することを決めた。

 残留放射線が健康に与える影響も検討。「現在の知見を揺るがすほどではない」「過小評価されている」との見解で対立し、議論は平行線をたどった。

 検討会は月1回のペースで開催している。神野座長は終了後の取材に、「夏までに最終報告をまとめるのは難しい」との見方を示した。(藤村潤平)

(2013年4月17日朝刊掲載)

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