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ぐるっと わがまち 広島市中区江波エリア すずの街 監督を案内 中川さん「この世界の片隅に」

 アニメ映画「この世界の片隅に」の主人公「すず」は、戦前の江波に生まれた。封切りは2016年11月。その5年前、片渕須直監督にこの地を案内した人がいる。江波を伝える会会長の中川巧さん(76)=江波本町=だ。

 初めて片渕監督と江波を歩いた日を、中川さんは思い返す。戦前の姿を残す松下商店、江波港、本川沿いの土手…。とにかく質問攻めにあった。資料もたくさん集めていたようだが、片渕監督は熱くこう語ってくれた。現地で確認することが大事なんです、と。「ここの雰囲気やにおいも感じに来られたのだろう」

 完成した映画の再現度の高さに驚いた。すずさんが生きた時代の光や風に触れた気がした。同時に、生まれ育った江波が描かれていることが誇らしくて、映画の大ヒットもうれしくて、映画館に7度通った。

 12月には、片渕監督の次の作品が公開される予定だ。新たなエピソードが加わった「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」。映画館で鑑賞する日を、中川さんは心待ちにしている。(藤田龍治)

(2019年11月23日朝刊掲載)

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