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核禁条約発効 後押し サーローさん期待

 広島市出身の被爆者サーロー節子さん(87)=カナダ・トロント市=は「平和のための集い」に参加し、核兵器の使用を「犯罪以外の何ものでもない」と断じたローマ教皇フランシスコの訴えに耳を傾けた。核兵器禁止条約発効の後押しとなることに期待を寄せた。

 ノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))の一員として参列した。バチカンで謁見(えっけん)した3月に続き、教皇と接するのは2回目。「被爆地で祈り、市民が無差別に大虐殺されたことを深く実感されたと思う」と受け止める。

 2017年7月に核兵器禁止条約が成立するとバチカンはいち早く署名、批准した。約60年間、海外で被爆体験を語ってきたサーローさんは「これまで孤独を感じ、自信が揺らぐこともあったが、教皇のメッセージは私の思いと重なっており勇気づけられた」と喜んだ。

 教皇が核抑止論を否定し「真の平和とは、非武装の平和以外ない」と述べたことについても「とても勇敢だ。信者だけでなく世界の多くの人に伝わると思う」とした上で「教皇の影響力に依存するのではなく、日本政府や市民一人一人が、核兵器廃絶へと行動するきっかけにしなければ」と力を込めた。(桑島美帆)

(2019年11月25日朝刊掲載)

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