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核抑止力否定には慎重 自民・岸田氏と菅官房長官

 自民党の岸田文雄政調会長(広島1区)は25日の記者会見で、ローマ教皇(法王)フランシスコが24日訪問した被爆地広島、長崎で核兵器廃絶を強く求めたことを「大変意義深く、心から共感する」と述べた。ただ核兵器禁止条約の早期批准には改めて慎重な姿勢を示した。

 外相経験のある岸田氏は、同条約について「(日本政府は)法的な枠組みを否定しているものではなく、その使い方を間違ってはならないということだ」と強調。教皇が核抑止力という考え方を否定したことについて問われ、「核が使われるような緊張した安全保障環境を和らげるなどし、まずは環境をつくっていかねばならない」と訴えた。

 菅義偉官房長官も同日の会見で、教皇の被爆地訪問を「国際社会に被爆の実相を正確に発信する上で重要だ」と評価した。一方で「我が国の防衛力を強化しながら、日米安保体制下で核抑止力を含めた米国の抑止力を維持、強化するのが、日本の防衛にとり現実的で適切な考え方だ」と述べた。

 核兵器禁止条約に関しては「現実の安全保障の観点を十分に踏まえることなく作成されている」との見解を示した。(下久保聖司)

(2019年11月26日朝刊掲載)

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