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原爆で校舎全焼、戦後すぐに廃校 済美国民学校 記憶語り継ぐ

 原爆投下で校舎が全焼し、戦後すぐに廃校になった広島陸軍偕行(かいこう)社付属済美(せいび)国民学校の同窓生が20日、広島市中区で会合を開いた。被爆70年に向けた記録映画を製作している映像作家田辺雅章さん(75)=西区=が、母校の姿を作品に盛り込もうと情報提供を依頼。写真などを持ち寄り、当時の記憶を語り合った。

 当時6年生で三次市に疎開していた片山圭介さん(79)=東京都世田谷区=たち4人が、田辺さんの呼び掛けに応じて集まった。他の同窓生から預かった写真7枚や、片山さんが描いた制服のスケッチを広げ「コの字形の校舎の随所にポプラの木があった」「砂場やぶらんこもあった」と記憶をたぐり寄せた。

 同国民学校は爆心地から約700メートル北東の現在の広島YMCA(中区)辺りにあり、軍人や経済人たちの子どもが通っていた。被爆の4カ月後に廃校となり、現存資料は少ない。田辺さんは同国民学校の幼稚園出身。当時の記憶があいまいなため、ゆかりの人に情報提供を呼び掛けた。

 映画では、爆心地から1キロ圏の被爆前の街並みをコンピューターグラフィックス(CG)で再現する。同国民学校周辺のCGは今秋までに仕上げる予定だ。田辺さんは「証言をさらに集め、正確な映像に生かしたい」と話している。(加納亜弥)

(2013年4月21日朝刊掲載)

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