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当初説明から2機増 岩国基地配備のグラウラー 8機に 市は把握 公表せず

 米軍岩国基地(岩国市)へ厚木基地(神奈川県)から移転した空母艦載機のEA18Gグラウラー電子戦機の機数を巡り、配備前に国が説明した6機から8機に増えていることが11日、分かった。市は把握していたが、国や米軍に正式に確認した事実ではないとして公表していなかった。

 国は2017年1月、移転するグラウラーについて「6機程度」と地元自治体に説明。ただし「航空機の機数は米軍の運用で変動し得る」としていた。

 機数の増加について、市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」のメンバーは11日、国や米軍に抗議するよう市に申し入れた。応対した市の山中法光基地政策担当部長は基地情報提供協力員たちの目視で同機が8機いるのを把握したと説明。一方で「国の説明の範囲内であり、抗議は考えていない」と市民団体の求めには応じない考えを示した。

 市民団体の久米慶典顧問は「放置すれば、なし崩し的に機数が増える可能性もある」と批判。市が把握した情報は積極的に公表するよう訴えた。

 市基地政策課によると、市は今年3月に8機を確認。10月に中国四国防衛局へ照会したが「機数は米軍の運用で変動し得る」と当初と同じ回答だったという。山中担当部長は市民団体に対し「国や米軍の裏付けがない中、目視情報を公式なものとして発表できない」と釈明した。

 艦載機約60機は17年8月~18年3月に段階的に移転した。グラウラーは艦載機部隊の主力であるFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機の派生型。両機種は従来型ホーネットよりエンジン出力が大きく、厚木周辺の騒音被害の主因とされていた。(松本恭治)

(2019年12月12日朝刊掲載)

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