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被服支廠で被爆 児童に体験語る 呉の横路小で中西さん

 呉市広横路の横路小で13日、同市安浦町在住で被爆者の中西巌さん(89)を招いた「出会いの会」があった。74年前、学徒動員されていた陸軍被服支廠(ししょう)(広島市南区)で被爆した中西さんの体験に、5年生約120人がメモを取りながら熱心に聞き入った。

 親交のある同校教諭の依頼で訪れた中西さん。「生かされた命と思い、忘れたくても忘れられない体験を語っています」と前置きし、スクリーンに写真や絵を映しながら語った。

 被爆の瞬間、建物の陰でやけどは免れたが、爆風に巻き込まれて気を失ったこと。大勢の被爆者が運び込まれたが、なすすべもなかったこと…。被服支廠の遺構の保全活動にも励む中西さんは「無言の証言者としてぜひ残すべきだ」と訴え、児童に「心の中に平和のとりでを築いて」と呼び掛けた。

 吉村哲平君(11)は「戦争や原爆は、生き残った人にも苦しみを残すことが分かった」と話していた。

(2019年12月16日朝刊掲載)

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