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核・反人道罪なき世界議論 広島で国際シンポ

 国際シンポジウム「核兵器と反人道罪のない世界へ」が15日、広島市中区の広島国際会議場であった。広島市立大、中国新聞社、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の主催。海外の紛争地で続く深刻な人権侵害と、核兵器の保有・使用を巡る問題について、いずれも「人道性」という観点から議論した。

 国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)前判事の尾崎久仁子氏が基調講演。紛争地などでの組織的な集団殺害や性暴力といった犯罪について責任者個人を裁くICCの役割や、17年前に設立された経緯を紹介。軍事大国の米国、ロシア、中国と、中東やアジアの有力国が未加盟であることなどが課題だとした。

 尾崎氏は「ICCは犯罪が適正に裁かれ、再発防止につながることを目指している」と説明。「個人が関心を持ち、知ろうとすることから始めて」と会場の約280人に呼び掛けた。

 続いて元広島市長の平岡敬氏が講演。1995年に国際司法裁判所(ICJ、ハーグ)で核兵器の使用・威嚇に関し、日本政府の見解に反して「国際法に違反するのは明らか」と陳述したことを振り返った。「核兵器の非人道性に対する懸念こそ核兵器廃絶の理念の支柱だ」と強調し、日本の姿勢を批判した。

 大阪大大学院の真山全教授、関西学院大の望月康恵教授、日本紛争予防センターの瀬谷ルミ子理事長たちを交えた討論もあった。中国新聞ジュニアライター5人が平和な社会へ向けた「若者からの提言」を発表した。(桑島美帆)

(2019年12月16日朝刊掲載)

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