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島根原発フィルター付きベント 来月着工 完成前倒し 中電発表

 中国電力は23日、島根原子力発電所(松江市鹿島町)2、3号機で、事故時に原子炉格納容器の圧力を下げるフィルター付きベント設備を5月初旬に着工すると発表した。原子力規制委員会が課した島根を含む沸騰水型原発の稼働条件で、完成時期は1年前倒しして2014年度とする。

 稼働条件として規制委が規制基準案で示した安全対策では、完成が最後になる見通しだった。中電は敷地内の指令拠点となる免震重要棟も14年度に完成させる予定。追加の対策が課されない限り、稼働条件は14年度に整う見込みとなった。

 発注した日立製作所の子会社が、ベント設備の施工実績を持つ海外メーカーの技術を取り入れることで早期に完成できるという。

 2号機南側と3号機東側の地下に、コンクリート製格納槽(約300平方メートル)をそれぞれ建設する。内部に放射性物質の除去機能を持つ設備を設置。緊急時に原子炉建屋とつないだ配管で蒸気を逃がして格納容器の圧力を下げ、地上に放出する。

 総工費は未定。福島第1原発事故を受けた島根原発の安全対策費は少なくとも500億円で、さらにかさむことになる。

 島根原発は1、2号機が定期検査で停止中。3号機は建設中。運転開始から39年を迎えた1号機への設置は、40年を超える運転に必要な安全基準が不明として見送ったという。(樋口浩二)

フィルター付きベント設備
 原子炉が冷却機能を失い格納容器の圧力が高まった際、蒸気を逃がすことで水素爆発を防ぎつつ、フィルターを通すことで放射性物質の放出量も抑える。そのまま放出した場合に比べ約千分の1に減らせるという。東京電力が1月、柏崎刈羽原発(新潟県)に着工したのが全国で初めてのケース。

(2013年4月24日朝刊掲載)

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