広島県メガソーラー 中電、送電容量足りず 発電の33% 宙に浮く
13年4月25日
広島県が3カ所の遊休地に整備を計画する大規模太陽光発電所(メガソーラー)で、発電出力6600キロワットの3分の1に当たる2200キロワットの買い取りを中国電力が承諾しなかったことが24日、分かった。送電線の空き容量が足りないためという。発電事業で得た収益を県民に還元する県の事業は、計画の見直しを迫られる可能性がある。(村田拓也)
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、発電事業者が国に事業計画を申請するのに合わせ、送電線を持つ電力会社に送電の空き容量を照会する仕組みになっている。計画を作った後で容量不足が判明するケースは各地で起きている。
広島県が計画したメガソーラーの整備と運営は、県と中電、中電子会社が出資する有限責任事業組合(LLP)が担う。①東広島市福富町で3500キロワット②庄原市是松町で2300キロワット③竹原市高崎町で800キロワット―の合計出力6600キロワット分の太陽光パネルで発電し、中電に売電する計画を1月末に発表した。
LLPは2月中旬、固定価格買い取り制度に基づく発電事業を国に申請。中電に対し、発電した全量を中電の送電線で送れるか検討を依頼した。
中電は3月、庄原市分を計画より200キロワット多い2500キロワット、竹原市分も100キロワット多い900キロワットの送電が可能と回答。一方で東広島市分は今月18日、3500キロワットのうち千キロワット分しか送電できないと答え「送電線の容量が足りない」と説明した。
この結果を受け、県は発電出力を庄原市2500キロワット、竹原市900キロワットに上げる一方、東広島市分を3200キロワットに下げ、全体で6600キロワットを維持する計画に変更。庄原市は24日、竹原市は7月に起工し、東広島市は千キロワット分に限り9月に着工すると決めた。
県によると、中電は東広島市分について、送電を可能にするための対策を検討し、返答する姿勢を示しているという。県環境政策課は「まずは回答を待つ。現時点で計画の見直しはしない」とする。中電は「個別の案件には答えられない」としている。
メガソーラー事業の手続きを進める中で、送電容量の不足が判明するケースは各地で相次ぐ。周南市が市有地で計画する事業では、事業者を公募していた昨年11月、容量不足と分かり、規模を縮小した。東京のベンチャー企業も昨年8月以降、萩市と鳥取県日南、大山両町で計画した事業を断念した。
g>広島県の大規模太陽光発電所(メガソーラー)整備事業 g>
県と中国電力、中電子会社が出資する有限責任事業組合が2014年度から20年間、県の遊休地などに設けた出力6600キロワットのパネルで発電。13億3千万円の利益を見込む。利益は出資割合に応じて分配。県は9億4200万円を受け取り、省エネ家電を購入する県民への補助金などに充てる。13年度に6600キロワット分を整備し、14年度には3400キロワット分を増設するとしている。
(2013年4月25日朝刊掲載)
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、発電事業者が国に事業計画を申請するのに合わせ、送電線を持つ電力会社に送電の空き容量を照会する仕組みになっている。計画を作った後で容量不足が判明するケースは各地で起きている。
広島県が計画したメガソーラーの整備と運営は、県と中電、中電子会社が出資する有限責任事業組合(LLP)が担う。①東広島市福富町で3500キロワット②庄原市是松町で2300キロワット③竹原市高崎町で800キロワット―の合計出力6600キロワット分の太陽光パネルで発電し、中電に売電する計画を1月末に発表した。
LLPは2月中旬、固定価格買い取り制度に基づく発電事業を国に申請。中電に対し、発電した全量を中電の送電線で送れるか検討を依頼した。
中電は3月、庄原市分を計画より200キロワット多い2500キロワット、竹原市分も100キロワット多い900キロワットの送電が可能と回答。一方で東広島市分は今月18日、3500キロワットのうち千キロワット分しか送電できないと答え「送電線の容量が足りない」と説明した。
この結果を受け、県は発電出力を庄原市2500キロワット、竹原市900キロワットに上げる一方、東広島市分を3200キロワットに下げ、全体で6600キロワットを維持する計画に変更。庄原市は24日、竹原市は7月に起工し、東広島市は千キロワット分に限り9月に着工すると決めた。
県によると、中電は東広島市分について、送電を可能にするための対策を検討し、返答する姿勢を示しているという。県環境政策課は「まずは回答を待つ。現時点で計画の見直しはしない」とする。中電は「個別の案件には答えられない」としている。
メガソーラー事業の手続きを進める中で、送電容量の不足が判明するケースは各地で相次ぐ。周南市が市有地で計画する事業では、事業者を公募していた昨年11月、容量不足と分かり、規模を縮小した。東京のベンチャー企業も昨年8月以降、萩市と鳥取県日南、大山両町で計画した事業を断念した。
県と中国電力、中電子会社が出資する有限責任事業組合が2014年度から20年間、県の遊休地などに設けた出力6600キロワットのパネルで発電。13億3千万円の利益を見込む。利益は出資割合に応じて分配。県は9億4200万円を受け取り、省エネ家電を購入する県民への補助金などに充てる。13年度に6600キロワット分を整備し、14年度には3400キロワット分を増設するとしている。
(2013年4月25日朝刊掲載)