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島根原発3号機 住民ら差し止め提訴 国の設置許可無効も

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)で建設中の3号機について島根、鳥取県などの住民428人でつくる原告団は24日、中電に運転差し止めを求める民事訴訟を松江地裁に提訴した。福島第1原発の事故後、稼働前の原発を対象にした訴訟は初めて。

 国に原子炉の設置許可の無効確認を求める行政訴訟も同時に起こした。訴状によると、3号機は地震や津波による事故のリスクがあり、住民の安全確保は不可能としている。

 1999年に1、2号機の運転差し止め訴訟を松江地裁に提訴した松江市民たちが、昨年9月から原告を募集。東京や広島県など20都道府県から賛同者が加わった。

 提訴前に松江市であった原告団の結成総会で、共同代表に就いた元島根大教授の井口隆史さん(70)=松江市=は「子や孫のために3号機の稼働は止めなければならない」と訴えた。

 代理人には島根、鳥取両県の弁護士に加え、全国の弁護士ネットワーク「脱原発弁護団」を含む計93人が名を連ねた。

 中電は「訴状は確認できていないが3号機の安全性に問題はないと考える」。原子力規制庁は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。(樋口浩二)

島根原発3号機
 2005年12月に着工。工事進捗(しんちょく)率は最新の公表数値(11年4月末時点)で93・6%。改良沸騰水型の原子炉で出力137万3千キロワット。総工費約4600億円。稼働時期は不透明だが、原子力規制委員会が7月、稼働の条件となる安全対策を盛り込んだ規制基準を示す。

(2013年4月25日朝刊掲載)

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