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今期の収支改善見通せず 中電赤字200億円超 社長「最大限に効率化」

 2013年3月期決算で過去最悪に迫る最終赤字となった中国電力。広島市中区の本社で記者会見した苅田知英社長は、島根原発(松江市)が停止を続ける中での黒字転換は困難との認識を示す一方で「全社を挙げ、最大限の効率化に努める」との決意を強調した。(山瀬隆弘、新山創)

 200億円を超える赤字を「大変厳しい」と苅田社長。島根原発が通年稼働した場合に比べた燃料費の増加額が「1200億円と大きく、吸収は困難」と説明した。原発の再稼働時期が定まらず、今期の利益見通しも明らかにしなかった。原発が停止したままでは、収支の改善は困難との見方でいる。

 発電設備の修繕費圧縮に加え、安価な液化天然ガス(LNG)も追加調達する。13年3月期のコスト削減は想定を6割上回る320億円に達した。今期は560億円とさらに上積む計画だ。設備改修の先延ばしなど「緊急避難的なコスト削減も進める」と強調した。

 中電はこの日の取締役会で、役員報酬の15%カットも決めた。春闘で決める従業員の年間賞与も、ことしは夏分の支給額だけを決定。平均75万4千円とし、昨夏より5万5千円引き下げた。

 労使間では従業員の諸手当や福利厚生の見直しも交渉中で、苅田社長は「額は大きくないが、全社ぐるみでコスト削減を考えている」と述べた。

 電気料金の値上げについては、あらためて否定した。「産業界も少し上向いており、可能な限り(料金を)維持したい」と述べた。稼働から40年目を迎えている島根原発1号機は「廃炉の計画はない」とし、新しい規制基準をめぐる議論を見極めながら「措置を検討していく」との考えを示した。

 異動は次の通り。(6月26日)

 副社長(常務)熊谷鋭、小野雅樹▽常務(上席執行役員)平野正樹、(執行役員)森前茂彦▽取締役 宇部興産会長田村浩章
 退任 副社長松井三生、常務熊野義夫、取締役林孝介
 (6月中)中電工業社長(中電工業専務)熊谷千代志▽中電環境テクノス社長(上席執行役員島根支社長兼島根原子力本部副本部長)飯塚亮一▽エネルギア介護サービス社長(福山営業所長)神崎元宏▽福利厚生倶楽部中国社長(柳井営業所長)隅川通治

<2013年3月期決算>

企業名    売上高             経常利益       純利益        配当(円)      株主総会
中国電力  1,199,727( 1.6)   ※28,792(-)   ※21,951(-)   50.0(50.0)   26日

(単位百万円、かっこ内は前期比増減率%、配当のかっこ内は前期実績、※は損失、株主総会は6月)

(2013年4月27日朝刊掲載)

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