×

ニュース

ヒロシマ発信1万4066点 寄贈受け目録化 広島大文書館が公開

 広島平和文化センター(広島市中区)の元理事長、故大牟田稔さんが保管していた原爆、平和に関する資料1万4066点が、東広島市の広島大文書館で閲覧できるようになった。遺族から寄贈を受けた資料を整理し、目録(A4判、461ページ)にまとめた。

 1995年に米国立スミソニアン航空宇宙博物館が企画した、被爆資料も展示する特別展は、退役軍人たちの圧力で中止となった。目録には博物館が作った展示計画書や、展示内容に広島市の意向が反映されているかの対比表なども収録した。

 98~99年に米国ボストン郊外のタフツ大で広島、長崎両市が協力して実現した原爆展の際、同大とのやりとりの手紙のコピーや、現地でのあいさつの草稿もある。自身が発足を呼び掛けた原爆小頭症患者と家族でつくる「きのこ会」の関係資料も多い。

 大牟田さんは広島大文学部を卒業。中国新聞社論説主幹などを務め、原爆・平和報道に尽力。当時の厚生省原爆被爆者実態調査委員会の委員なども歴任した。

 文書館は計約5万3千点を寄贈されており、目録を残り3巻刊行してノートや音声テープなど順次公開を増やしていく。小池聖一館長は「戦後ヒロシマの歩みを知る上で貴重な資料群。教育や研究に活用してほしい」と話していた。(新谷枝里子)

(2013年4月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ