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核兵器削減新条約 全廃へ強い期待 広島の被爆者や平和専門家

■記者 森田裕美

 新たな戦略核兵器削減条約の交渉開始をうたう米ロの共同声明が伝わった2日、広島の被爆者や平和問題の専門家たちは期待感を強めた。廃絶につながる具体策が打ち出されるのか。今後は、交渉の推移に被爆地から厳しい視線が注がれる。

 「明るい兆し。広島市が目指す2020年までの廃絶がかなう条約に」。昨年3月にロシアを訪れ、被爆体験を証言した県被団協(坪井直理事長)の木谷光太事務局長は希望を抱く。もう一つの県被団協(金子一士理事長)の吉岡幸雄事務局長も「全廃に向けた確実なステップにしてほしい」と求めた。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実准教授(国際政治)は核軍縮への国際的潮流を評価する一方、「ミサイル防衛や北朝鮮問題などの外交問題で、両国がそれぞれの思惑で動けばそれがほころびになり、政治的パフォーマンスで終わる心配もある」と指摘する。

 全米原爆展を提唱し、実現した広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長は「保有を前提にゆっくり減らすのでは意味がない。時期を絞り明確な約束を示さなければ、他の保有国も核軍縮に踏み切れない」と強調した。

 平和市長会議の会長を務める秋葉忠利市長は「核廃絶に向けた流れを確実なものとするためさらなるリーダーシップを」とのコメントを発表した。

(2009年4月日朝刊掲載)

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