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「2棟解体」案 6割反対 被服支廠 広島県意見公募に2232人

 広島県は17日、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)で実施した意見公募に、延べ2232人が応じたとの速報結果を明らかにした。県が「2棟解体、1棟の外観保存」とした安全対策の原案への賛否は、反対60%、賛成34%、その他6%だった。

 県議会総務委員会で、1カ月間の意見公募の最終日だった16日の午後5時現在の集計として報告した。その後に電子メールや郵送で届いた分があるほか、内容が一言一句同じ意見では一部を除外したケースもあるとしており、最終的にはさらに増える見通しだ。

 速報によると県の原案に対する賛否の延べ人数の内訳は、反対1332人、賛成767人、その他133人。反対の中には3棟の全棟保存を求める意見をはじめ、3棟全ての解体を主張する声もあったという。

 応じた人の住所別は、広島市57%、広島市を除く県内24%、県外19%。広島市は反対52%、賛成41%と賛否の差が小さい。県外では反対が89%と、賛成の7%を大きく上回った。反対の割合を年代別で見ると、60代が70%で最も高く、20代が47%で最も低かった。

 総務委員会で、県財産管理課の足立太輝課長は「これまでで最多の意見をいただいた。内容を精査し、できるだけ早く公表したい」と述べた。その上で、賛否の数の多さで県の結論が決まるものではないとして「多数意見も少数意見も方針決定で参考にする」と強調した。(村田拓也)

旧陸軍被服支廠(ししょう)
 旧陸軍の軍服や軍靴を製造していた施設。1913年の完成で、爆心地の南東2・7キロにある。13棟あった倉庫のうち4棟がL字形に残り、広島県が1~3号棟、国が4号棟を所有する。県は2019年12月に公表した原案で、爆心地に最も近い1号棟の外観を保存し、2、3号棟を解体するとした。いずれも20年度に着手し、保存は21年度、解体は22年度の完了を目指す。4号棟については、国が解体を含めて検討している。

(2020年1月20日朝刊掲載)

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