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「はだしのゲン」足取りを地図に 中区で学生ら 舞台巡り原爆の惨状学

 漫画家の故中沢啓治さんが被爆体験を基に描いた「はだしのゲン」の主人公ゲンの足取りを追う催しが28日、広島市中区であった。中高生や大学生たち16人が、当時6歳の少年の目線で原爆の悲惨さを学び、地図にまとめた。漫画の連載40周年を記念する6月のイベントで発表する。(野田華奈子)

 中沢さんのドキュメンタリー映画を製作した渡部久仁子さん(32)=安佐南区=と学生たちが企画した。中沢さんが被爆した神崎国民学校跡地や、父、姉、弟が下敷きになって亡くなった近くの自宅跡など、舞台となった3カ所を巡った。

 渡部さんは「一発の爆弾が少年の人生をどう変えたのかを想像して」と、絵本や漫画を広げて現場で解説。参加者はゲンと中沢さんを重ね、当時の惨状をイメージした。

 参加者は渡部さんの事務所で、3カ所を巡った感想や現場の説明を盛り込んだ地図を作った。6月2日に、中区の旧日本銀行広島支店で開く、40周年記念イベントで披露する。

 広島修道大4年の丸本美樹さん(22)=廿日市市=は「6歳の中沢さんの苦しみを丁寧にかみしめ、核兵器廃絶への思いを新たにした。再読するきっかけを広げたい」と話していた。

(2013年4月29日朝刊掲載)

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