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永井隆記念館(島根県雲南市三刀屋町) 平和を願う博士の古里

 木造平屋の2畳一間の壁に掛かった写真。長崎市で被爆しながら被爆者救護に尽力し、病床から平和を訴え続けた永井隆博士(1908~51年)が優しくほほ笑みかけていた。

 松江自動車道三刀屋木次インターチェンジ(IC)から国道54号を西へ約5分。博士の古里である雲南市三刀屋町の永井隆記念館の敷地に、晩年の3年間を過ごした長崎市の住居「如己堂(にょこどう)」の複製が建てられている。

 博士は、「長崎の鐘」「この子を残して」など平和を求める数々の著書を残した。雲南市などは生誕100年の2008年、全国からの寄付で実物と同じ大きさで如己堂を再現した。

 記念館では直筆の手紙や博士の幼少期の写真など約270点を展示。松江道開通後の4月の来館者は約2倍となる400人以上に増えた。名原久雄館長(65)は「広島方面からのツアーに組み込んでもらえている。被爆地ヒロシマにも博士の願いが伝われば」と期待する。

 「己の如く人を愛せよ」。聖書の一節にちなむ博士の願いは故郷から広がり続けている。(川上裕)

(2013年4月30日朝刊掲載)

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