×

ニュース

オスプレイ追加配備 岩国先行搬入を容認 山口知事・岩国市長

 防衛省は30日、山口県と岩国市に対し、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機を沖縄に追加配備する前に今夏、米海兵隊岩国基地に先行搬入するという米側の方針を伝えた。佐藤正久防衛政務官の訪問を受けた山本繁太郎知事と福田良彦岩国市長は容認する考えを示した。

 県庁を訪れた佐藤政務官は、オスプレイを岩国基地に陸揚げして必要な整備と試験飛行をした後、米軍普天間飛行場に配備する米側の計画を説明した。陸揚げ時期や駐機期間は未定とし「米側から情報が得られ次第、再度訪問して説明する」と表明。搬入先を岩国基地とする理由は「那覇港湾施設より、飛行場もある岩国基地の方が安全、円滑に陸揚げして準備できる」とした。

 山本知事は追加配備は事前に計画されていたとして受け入れに協力する考えを伝えた。会談後、取材に対して「岩国市と意思疎通を図って対応したい」と述べた。

 佐藤政務官は岩国市役所でも同様の計画を説明。福田市長は会談後、「安全、円滑に配備するため岩国基地に陸揚げする必要があることは理解した」とする一方、日米合同委員会で決められた飛行ルールの順守や騒音対策を求めた。

 米軍は昨年7月、オスプレイ12機を岩国基地に陸揚げ。整備や試験飛行を経て約2カ月後、普天間飛行場に配備した。その後、ことし3月6~8日と19~23日、岩国基地を拠点とするオスプレイの本土訓練を実施した。(門戸隆彦、堀晋也)

オスプレイ再び先行搬入 容認と反対の声交錯 岩国 安全対策など注文も

 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機を米海兵隊岩国基地に再び先行搬入する米側の方針が県と岩国市に伝えられた30日、地元岩国市では米軍再編に容認、反対の両立場のさまざまな声が交錯した。

 4月26日の記者会見では「那覇の港湾施設に直接陸揚げするのが筋。(岩国経由は)違和感がある」との見解を示していた福田良彦市長。この日、佐藤正久防衛政務官から「港湾施設と飛行場を兼ねる岩国しか陸揚げ先はない」と説明を受け、容認する考えを示した。ただ、昨年の先行搬入に触れ「岩国が容認し沖縄配備につながったと見られ、複雑な思いだった。国民に配備の必要性の理解求める努力を」と強調した。

 会談には武田正之市議会議長も同席。米軍再編に協力姿勢の岩国市議21人でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」のメンバーでもある武田議長は、佐藤政務官に「(オスプレイは)個人的には安全保障上、大変有益」とした上で「住民不安が十分解消したとはいえない。安全対策や地域振興策といった地元要望を受け止めてほしい」と注文した。

 艦載機移転などに反対する市民団体「住民投票を力にする会」などは会談中、市役所前で抗議行動。同会の松田一志代表(55)は「沖縄配備も反対だが、先行搬入は岩国基地をオスプレイの準拠点化する狙いがあるのではないか」と強調。約40人とともに「搬入反対」「オスプレイはいらない」と声を上げた。(堀晋也、大村隆)

(2013年5月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ