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NPT会議での役割 小笠原氏に聞く 合意形成の橋渡し役に

 軍縮会議日本政府代表部の小笠原一郎軍縮大使に、4、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の見通しや、日本政府の会議に臨む姿勢などを聞いた。(明知隼二)

  ―再検討会議をどう展望しますか。
 各国大使には、合意は困難との相場観が広がっている。大国間の競争、(イランの核開発を制限する)核合意を巡る緊張の高まり、核兵器禁止条約についての立場の違いなどが背景にある。しかしNPT発効50年という歴史的意義もあり、成功させなくてはいけないとの共通認識もある。

  ―禁止条約を巡っては、反対する被爆国・日本への厳しい見方もあります。
 廃絶というゴールは共有するが、日本は現実の安全保障に配慮しながら段階的に進める立場を取る。核兵器を使わせないためには、現状では核抑止を否定できない。保有国を巻き込むためにも、強硬な反対を引き起こしている禁止条約への評価は慎重にするべきだ。

  ―禁止条約成立の背景には、核軍縮を進めない保有国への不満がありました。
 保有国は(核軍縮への誠実な交渉など)NPTが課す義務を果たさないといけない。(核兵器廃絶の明確な約束など)再検討会議での過去の合意事項も同様だ。日本政府としてこの立場を崩したことはない。再検討会議でも、義務の履行を求めていく。

  ―日本は役割を果たせるのでしょうか。
 これまでも、国連総会での核兵器廃絶決議案、各国の有識者でつくる賢人会議など、再検討会議の議論の下敷きとなり、合意点を探る取り組みを重ねてきた。合意形成に向け、立場の異なる国々の橋渡し役を務めたい。

  ―被爆地広島を訪れた経験をどう生かしますか。
 改めて原爆資料館を見学し、胸が締め付けられた。広島と長崎の経験は核軍縮の原点であり、常に議論の根底にあるべきものだ。再検討会議でも、一歩でも核軍縮を前に進められるよう取り組む。

(2020年2月5日朝刊掲載)

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