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寄付で財源確保「困難」 広島被服支廠 知事、保存巡り言及

 広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の保存で最大の課題となっている財源を巡り、広島県の湯崎英彦知事は4日、ふるさと納税やクラウドファンディング(CF)で賄うのは難しいとの認識を示した。

 湯崎知事は記者会見で、市中心部のサッカースタジアム建設で寄付の申し込みが2億円弱に上った現状を「非常に異例だ」と指摘。被服支廠の建物1棟の耐震化に33億円かかるとの試算を念頭に「特定の目的で数十億円を集めた例は、これまでにはない」とした。

 その上で、ふるさと納税やCFによる資金確保について「募集する可能性はあるが、それで財政問題が解決するとは、申し訳ないが考えていない。そこまで楽観的ではない」と述べた。

 県が3日にまとめた意見公募の結果によると、被服支廠で「2棟解体、1棟の外観保存」とした安全対策の原案に反対した人のうち、寄付やふるさと納税の協力に前向きな人が68・1%を占めた。「十分な議論がなされたと思えない」との回答も63・0%あった。

 湯崎知事は「平成の早い時代から活用策をいろいろと議論したが、解を見いだせなかったのが事実だ。一番大きな理由は費用の問題で、踏み込めなかった」と語り、多くの人の意見を聞いてきた経緯を強調した。(村田拓也)

(2020年2月5日朝刊掲載)

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