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高校生フィールドワーク 五輪選手らの訪問を要請 被爆75年 広島県事業案

 被爆から75年を迎える2020年度に広島県が計画する記念事業の骨格案が4日、分かった。高校生たちに広島の街を歩いてもらうフィールドワークなど五つの事業を展開する。東京五輪・パラリンピックに出場する選手や政財界のリーダーたちに被爆地訪問を促す働き掛けも強める。

 骨格案によるとフィールドワークは、県内をはじめ、国内外の高校生たちが交流する「ひろしまジュニア国際フォーラム」として手掛ける。広島国際会議場(広島市中区)を拠点に催していた形式を見直し、被爆の爪痕を残す場所などを歩いて巡るスタイルを盛り込んだ形へ発展させる。

 ほかの4事業は「世界平和経済人会議ひろしま」の開催▽国際会議の県内での開催支援▽「ICAN(アイキャン)アカデミー」の開講▽「国際平和拠点ひろしま構想」の専用サイトの充実と効果的な宣伝活動。事業費として計1億7600万円を、20年度一般会計当初予算案に計上する方針でいる。

 このうちICANアカデミーは、ノーベル平和賞を17年に受けた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)と連携する。19年に続く企画で、広島に原爆が投下された8月6日の前後、国内外の若者に核兵器廃絶の道筋を考えてもらう。

 予算を伴わない取り組みとして、東京五輪・パラリンピックの開催と被爆75年が重なるのを生かし、国内に集うアスリートや各界のリーダーたちに被爆地訪問を要請する活動も進める。平和について理解を深めてもらい、メッセージを発信するよう働き掛ける。

 県は記念事業により、若者をはじめとする幅広い人材が広島を訪れ、平和を学び、行動するための機会を提供する考え。被爆者の高齢化などによる記憶の風化を食い止め、核兵器廃絶に向けた研究や市民活動が活発に展開される土台づくりを目指す。(木原由維)

(2020年2月5日朝刊掲載)

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