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核廃絶後押しするメッセージを 被爆者ら歓迎 国連総長8月広島訪問発表

 国連のグテレス事務総長が、8月6日の広島市の平和記念式典に合わせて同市を訪問すると発表した。現職の国連事務総長が式典に参列すれば、2010年の潘基文(バン・キムン)氏以来、2度目となる。5日、広島の被爆者たちから「核兵器廃絶を後押しするメッセージを」と歓迎の声が上がった。

 グテレス氏は、潘氏の後任として17年に事務総長に就任。18年に国連として取り組むべき軍縮課題を包括的にまとめた文書を初めて発表するなど、核問題に強い関心を示してきた。

 米ニューヨークの国連本部で自らの体験を証言したことがある被爆者の田中稔子さん(81)=東区=は「グテレス氏は平和の実現に熱心な印象がある。核兵器禁止条約に背を向ける日本政府の姿勢を変える言葉を発してほしい」と願った。

 「被爆地広島の土を踏んでこそ感じられることがある」と話すのは、昨年11月に広島を訪れたローマ教皇フランシスコに被爆体験を語った梶本淑子さん(89)=西区。グテレス氏の広島訪問を喜びつつ「原爆資料館を見学し、被爆者と対話する機会も持ってほしい」と求めた。

 広島市の松井一実市長はこの日、報道陣の取材に応じ「国連や世界各国を束ねる立場として、核兵器のない世界へ向け、為政者の歩みを後押しするメッセージを」と述べ、期待感を示した。昨年4月に国連本部でグテレス氏と面会し、広島訪問を要請した広島県の湯崎英彦知事は「核兵器のない平和な国際社会の実現へ、国際世論を高める契機になる」とのコメントを出した。(明知隼二)

(2020年2月6日朝刊掲載)

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