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海外で収集写真展 「廃虚」「復興」今に 原爆資料館で67点

 原爆資料館(広島市中区)が米国や英国など海外で収集してきた写真資料を紹介する企画展が、同館東館で開かれている。67点のうち、2019年に集めた写真を含めた43点を初めて展示。原爆投下による広島市街の被害状況を捉えた米軍の航空写真や占領期の街の様子を伝える。7月下旬まで。無料。

 「終戦後に撮影された航空写真」「廃虚の広島」「復興」など8部で構成。海外の公文書館や博物館で接写したりスキャナーで取り込んだりした写真を並べている。

 19年に収集したのは19点。うち米軍による1946年2月ごろの航空写真は、被爆後の火災で全焼した市中心部と、多くの建物が残った比治山以東の被害の違いがはっきり分かる貴重な資料という。英連邦軍の一員として広島に駐留したインド人兵士が焼け跡で市民と言葉を交わす様子を収めた写真などもある。

 海外の資料収集を巡っては、広島市は74年、長崎市と共同で初の渡米調査を実施。近年、広島市は原爆資料館が中心となって2013年と16、17、19年にニュージーランド、英国にも広げて調査を重ねてきた。多くは米軍の資料や駐留軍関係者が私的に撮影して持ち帰った写真で、これまで6千枚以上を収集している。

 同館は「写真一枚一枚を丁寧に調査すれば、それだけ原爆被害の実像に迫ることができる。写真資料の意義に触れる機会にしてほしい」と来場を呼び掛ける。

 22日午後2時から、海外調査や企画展を担当した学芸員の講演が同館で開かれる。無料で、事前申し込み不要。同館☎082(241)4004。(明知隼二)

(2020年2月6日朝刊掲載)

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