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真珠湾で初の原爆展 2020年夏 資料館と長崎市共同

 原爆資料館(広島市中区)は今夏、長崎市と共同で、太平洋戦争開戦の地となった米ハワイ・ホノルル市の真珠湾にある戦艦ミズーリ記念館で、初めて原爆展を開く。米国では、旧日本軍による真珠湾攻撃を引き合いに、原爆投下を正当化する見方もある。資料館は「戦争そのものの悲惨さを伝えるという点で一致できたのでは」としている。

 7月上旬~9月3日、被爆資料や写真パネルを展示し、被爆者による証言もある。ミズーリは日本が太平洋戦争の降伏文書に調印した戦艦。現在は真珠湾に係留され、記念館として利用されている。知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)と協力し、旧日本軍の特攻隊に関する特別展を開いた実績もあり、原爆展にも積極的だったという。

 松井一実市長は、この日の会見で「罪のない市民まで殺してしまう兵器そのものを否定する広島の声を理解してもらう機会になる」と期待した。2020年度一般会計当初予算案に開催費500万円を計上する。

 一方、真珠湾攻撃で沈んだ戦艦アリゾナの上にあるアリゾナ記念館とは調整が付かず、目指していた今夏の開催は見送る。資料館は「引き続き開催に向けた調整を続ける」としている。

 広島、長崎両市は海外での原爆展を1995年に米国で始め、これまでに19カ国で計59回(うち米国は20回)開催。20年度は、9月上旬~10月上旬に米ハワイ大ヒロ校でも開く。(明知隼二)

(2020年2月8日朝刊掲載)

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