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「記憶遺産登録が有効」 被服支廠 寺田氏ら自民議連視察

 自民党の「被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟」は22日、存廃議論が続く広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)を視察した。代表世話人の寺田稔氏(広島5区)は、価値を海外にも発信するため、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)への登録を目指すべきだと主張した。

 現存する4棟のうち3棟を持つ広島県が「2棟解体、1棟の外観保存」とする安全対策の原案を公表したのを受けた。県は20年度の原案着手を先送りしたが、保存の方策を幅広く探ろうと、会長の河村建夫氏(山口3区)や事務局長の平口洋氏(広島2区)たち計7人が現地を訪れた。

 参加者は建物外観を見ながら「安全対策が急務」とする県の担当者や、全棟保存を求める市民団体代表の話を聞いた。寺田氏は「被爆建物がこれだけ巨大に残るのはオンリーワンで、貴重な宝だ」とし、保存費用を捻出するためにも世界記憶遺産への登録が有効と説いた。ユネスコの担当者とも近く面会したいという。

 世界記憶遺産は、世界的に重要な記録物をユネスコが登録する仕組みで、適切な管理計画などが登録条件になる。市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の中西巌代表(90)=呉市=は「保存の最大の課題は財源だ。国は県、市の先頭に立って負担をしてほしい」と望んだ。(樋口浩二)

(2020年2月23日朝刊掲載)

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