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五輪・パラ 平和でなければ開けない 開閉会式を演出 広島育ちのMIKIKOさん

4部作の物語 「共生」を描く

 東京五輪・パラリンピックは25日で五輪の開会式(7月24日)まであと150日。開閉会式を手掛ける演出振付家のMIKIKOさん(42)は被爆地広島で育った。中国新聞のインタビューに応じ、「インターネットでつながる時代に4年に1度、一つの場所に集まる。平和でなければ、世界中の人が賛同しなければできない。改めてそう認識できる大会に」と意気込みを語った。(中橋一誠)

 テクノポップユニットPerfume(パフューム)の振り付けやライブ演出で知られ、テレビドラマの主題歌に付けた「恋ダンス」がブームとなった。2017年12月、総合統括を務める狂言師で演出家の野村萬斎さんの下、音楽家の椎名林檎さんら7人でつくる「東京2020五輪・パラリンピック開会式・閉会式制作チーム」の一員となった。

 「過去の大会では五輪とパラリンピックが切り離されて考えられてきた。東京では開会、閉会の計四つの式典をつなげるのが大前提」。一連の4部作と捉えたストーリーに仕上げる。「つなげて見ていただいた時、『共生』というテーマを受け取ってもらえたら」

被爆体験を聞く

 2歳で広島市に東京から転居し、28歳で東京に拠点を移すまで過ごした。「毎年、被爆した方の話を聞き、授業を受けた。戦争がなく五輪を開ける意味を伝えたい」。平和の大切さを自然と意識するという。

 自宅は広島市の平和大通り沿いにあった。ひろしまフラワーフェスティバルを見て育ち、中学はバトン部の仲間と踊った。高校時代の1994年に広島アジア大会の式典でマスゲームに出演した。

 広告代理店勤務の父に連れられ、よくライブを鑑賞。「米米CLUB」の公演で舞台裏を見せてもらう機会があり、振付師の存在を知った。ステージで脚光を浴びるよりも面白そうと感じ、演出振り付けの道に進む出発点となった。

リオで熱気実感

 ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」を主宰。前回のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックでは、東京への引き継ぎ式を演出し、その熱気を現地でじかに感じた。

 開閉会式の舞台となる国立競技場(東京都新宿区)の収容人員は約6万人。「会場の熱量はテレビ画面にも映る。ライブ感を意識し、人間の力を感じられる式典にしたい」。過去の大会で4時間程度だった各式典の所要時間を約3時間に縮めようとしている。「あっという間に終わったね、が一番の褒め言葉。入場行進も工夫したい」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響も心配されるが、4月にはリハーサルが始まる。「一日も無駄にできない」。全てを注ぎ込む。

(2020年2月25日朝刊掲載)

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