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被服支廠保存で決議案 自民議連「相当数残すべき」

 広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の保存策を話し合っている自民党の議員連盟(会長・河村建夫元官房長官)が4日、決議案をまとめた。現存する4棟について「相当数残すべき」との内容で、被爆者団体や広島市が求める全棟保存は明記しなかった。議連は5日に党本部で開く総会で決定する見通しだ。

 議連は年明けから2度の会合を開き、2月22日の現地視察も参考にして決議案をまとめた。被服支廠に関しては「被爆建物としての価値を踏まえ相当数残すべきこと」としている。

 関係者によると、「4棟は老朽化し、全てを保存するには多額の費用がかかる。現時点ではその財源を示せない」などとして決議案では全棟保存を明確に打ち出さなかったという。

 保存に要する費用は、国が「相応の負担をすべき」とした。安倍晋三首相が1月の衆院代表質問で「唯一の戦争被爆国として、世代や国境を越えて被爆の実相を継承していく務めがある」などと述べたことを根拠に挙げた。

 活用策には、千羽鶴を置く場所▽市民の所有する原爆の被害の実情を示す物品を展示する場所―など5事例を示した。議連は5日に決議すれば、国や広島県に提出する予定という。(河野揚)

(2020年3月5日朝刊掲載)

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