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被爆証言 ユーチューブで 広島のグループ 新型肺炎受け 「ネット世代に広げたい」

 広島に原爆が投下された1945年8月6日にちなみ、毎月6日に広島市中区の繁華街で被爆証言会を開いている有志グループが今月6日、動画投稿サイト「ユーチューブ」に被爆者の証言をライブ配信する。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた初の試み。メンバーは「従来の証言会を開けない状況を逆手に取り、ネット世代の参加を広げたい」と意気込む。

 配信するのは脇舛友子さん(78)=熊野町=の証言で、6日午後7時から約1時間。3歳で入市被爆した脇舛さんが母親から聞いた当日の体験や体の不調に苦しんだ子ども時代を語る。視聴者はリアルタイムで感想や質問を投稿できる。

 進行役は有志の1人でシンガー・ソングライターHIPPY(ヒッピー)として活動する石川寛樹さん(39)=安佐南区。中区の事務所に脇舛さんを招き、自身のチャンネルで「第173回原爆の語り部 被爆体験証言者の証言」と題して発信する。

 証言会は2006年、中区でバーを営んでいた故冨恵洋次郎さんが始めた。肺がんを患って17年に37歳で亡くなった後、石川さんたちが遺志を継いだ。

 感染拡大で原爆資料館(中区)は一時休館中。同館で受け付けている被爆体験講話のキャンセルも相次いだ。石川さんは「面と向かって質問するのが苦手な若者もネットなら参加しやすい」と期待する。脇舛さんも「戦争の記憶をつなぐ大事な活動。喜んで協力する」と話している。(田中美千子)

(2020年3月5日朝刊掲載)

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