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独のマズア氏 26年ぶり広島訪問 日本デビュー平和のタクト 

 広島交響楽団のコンサートに出演するため、ドイツ出身の指揮者ケン・デイビッド・マズアさん(36)が26年ぶりに広島市を訪れている。8日には中区の平和記念公園の原爆慰霊碑を訪れた。少年時代に反戦の思いを強くした被爆地での日本デビュー。平和への願いを込め、タクトを振る。(岡田浩平)

 1987年、10歳だったマズアさんは、世界的指揮者の父クルトさん(85)の公演に同行して広島を訪問。原爆慰霊碑に花を手向けた。「原爆の本当の被害は想像できないが、戦争は嫌だ」と強く思ったという。

 広響コンサート「音楽の花束~広響名曲コンサート 春」(中国新聞社など主催)は10日に広島国際会議場(中区)である。若手指揮者を探していた広響の出演依頼をマズアさんは快諾した。

 7日に広島入り。翌8日、中区でのリハーサル開始前に当時の思い出を楽団員に語った後、原爆慰霊碑を訪れた。「ここは原爆被爆者の苦しみを感じた場所。自分の気持ちは昔と何も変わっていない」と振り返った。

 コンサートで指揮する3曲の中に、ベートーベンの交響曲第5番「運命」を入れた。「この曲は、最後に希望がみえてくる。原爆の惨禍から復興した広島に重ねたい」と語った。

(2013年5月9日朝刊掲載)

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